「シングルマザーは住宅ローンが通らないでしょ」
そんなよく聞く一般論を覆し、私は 信用金庫で金利1.00%の変動型ローンを組み、離婚直後に新築一軒家を購入しました。
そして、購入10年後にネット銀行へローンの借り換え、金利を年0.35%(当時)に下げて総利息を大幅に圧縮しました。
この記事では、シングルマザーがマイホームを手に入れるまでのリアルな道のりを共有します。
自分の中でなぜ住宅を購入したいのか?という解像度をあげた話。
購入後も住宅に関する知識を学び続けたこと。
そしてその結果、今の自分は住宅購入に対してどう考えているか?
それらを書いてみました。
結論はこうです。「住宅購入はあくまで超ぜいたく品。今の知識を持つ私だったら…買わないかも(笑)」。
その結論に至った理由も書きました。最後までお読みいただけると幸いです。
シングルマザーがローン審査で苦戦しやすい主な3つの理由
年収のハードル
多くの金融機関が目安とする年収は200~300万円以上。メガバンクでは400万円超を求める例も。
年収と返済比率で購入可能額は大きく制限されます。
家計をはじめ家事育児を一馬力で支えるため、返済負担率はシビアに査定されます。
勤続年数
勤続年数は1〜3年が目安。正社員でないと通りにくい印象もありました。
また、シングルマザーは転職回数が増えることもあります。
例えば、子どもの進学先が遠くになることで、現職では朝夕の時間帯が対応できなくなる。子どもが私立学校へ行くことになり、現職の年収では対応できなくなったり。意図せずに転職を余儀なくされることもあるでしょう。
また、時間の融通が利きやすい派遣社員や契約社員・パート勤務になりがちで、勤続年数が不足しやすい傾向があります。
保証人の確保が難しい
元配偶者はもちろんのこと、親族に頼りづらく、審査時にネックとなる場合が多いようです。
また、シングルマザーは近くに親族がいないことも多々あります。
けれども、近年は「保証会社」を通す審査モデルが主流です。
保証料を金利、もしくは金額を分割で上乗せする形で、身近に保証人がいなくても借入が可能となりました。
マイホームは“贅沢品”という現実を直視する
賃貸とマイホームでは、金銭面的に賃貸に軍配が上がることは否めません。
賃貸であれば、修繕費や固定資産税を負担せずに済みます。
環境や隣人との関係が悪ければ、引っ越しも自由にできます。
一方、住宅購入はローン返済・維持修繕・固定資産税・保険料も賃貸よりも大きいなど出費が大きく、人生設計に余裕がないとかなりの贅沢品です。
なにより、周辺環境が悪い場合などによる引越しの自由度は大幅ダウンです。
それを十分に理解したうえで、私は住宅は資産ではなく負債ととらえて、購入を決意しました。
金銭面的な負債よりも「子どもたちと心から大声で笑って過ごせる場所がほしい」の思いが強かったためです。
それと同時に、どんな状況でも自分で稼ぎ続ける覚悟を固めました。
住宅ローンを組みづらいシングルマザーがローン審査をクリアできた理由
私の場合、購入のタイミングが良かったこともありますが、住宅販売の営業さんの知識と行動に助けられた部分が大きかったです。
まあ、住宅を売る側としては当たり前ですが(笑)。手数料がきっちり入るのですから。
悪意のある人ではなかったことが、まだ知識や勉強不足だった当時の私にとっては幸いでした。
都市銀行ではなく信用金庫を選んだ理由と審査の流れ
私の年収・勤続年数で審査が通った金融機関は地域密着型の信用金庫でした。
そもそも、住宅販売の営業さんからは、信用金庫でのローンでないと厳しいです、と言われました。
ローン審査の時点の私は、運良く(?)地元の企業に5年ほど正社員として勤めていました。
また、他に車のローンや借金、延滞歴ゼロだったこと、奨学金の返済も終えていたことも大きかったと思います。
ローンが通った時は、地方銀行1行と他の地方信用金庫からのローン審査は落ちていました。
私がお世話になる事になった地方信用金庫は地元勤務を重視し、さらに企業の業績や実績も加味している印象を持ちました。
また、地域貢献を重視する信用金庫は、勤続年数や年収だけでなく「地域への定住意欲」「子育て支援」を評価軸に含める傾向がありそうです。
返済期間35年、金利は迷いましたが、変動1.00%に。覚悟が決まった瞬間でした。
保証会社を活用して「身近に保証人がいない」課題をクリア
懸念していた「保証人」ですが、保証会社利用することができました。
信用金庫提携の保証会社を利用し、個人保証人不要というものです。
保証料は融資額の約2%を分割払い(もしくは、金利上乗せ方式)にしました。
私の場合も両親や親族には事後報告のだったのでこれはとても助かりました。
親や親戚に負担をかけずに済む一方で、追加コストが発生するため、総返済額は増えるのがデメリットです。
ネット銀行へ借り換えにより金利0.35%を実現できた
ローンを返済し続けて、9年たったころ、思い切ってローンの借換えをしました。
借入時(信用金庫)の金利は、 1.00%。この後、世間では住宅ローン金利、変動では1.00%を切る金利が多く、特にネット銀行の金利の低さは目を瞠るものがありました。
ですが、借り換えに伴う事務手数料や保証料、司法書士費用、その他自分の手間を考えて迷う日々が長引きました。
そのうち、住宅ローンの金利が上がるという話もちらほら出始め、金利が1%を超えるのは嫌だ!という思いから思い切って借り換えを決意。
月1度、信用金庫へローン分の金額を入金するために通っていたことなんとかしたいと考えていたこともあります。
(ネットバンクが使いづらく手数料もかかった)
結果、借り換え後(ネット銀行)で金利0.35%に。借り換えの事務手数料その他には約35万円ほどかかりましたが、トータルの返済額はダウン。
合計3日ほどの自分の手間暇時間を考えても、割の合う行動だと感じました。
また、メインバンクのネット銀行にローンも集約できたことで脳のリソースを一気に開けることにも成功!
借り換え検討の時、Web審査を2社行ったのですが、1社は審査落ちでした。受かった方は、
結論、シングルマザーが住宅を買ってよかった?
シングルマザーにとって住宅を持つ意味とは?
私が住宅を購入した理由はたったひとつ。
「子どもと大声で笑いあえる場所がほしかった」
という感情を優先したことです。
実際、この選択は資産面ではかなりのマイナスですし、物理的な面ではリスクが高すぎます。
この考えに至ったのには理由があります。実は、住宅を買う前の1年間、別居期間もあり子どもたちを連れて賃貸に住んでいました。
賃貸の場所は、職場にも近く部屋数も悪くはなかったです。
子どもたちの学校からも近く、共同養育をしている元夫の家からも歩いて通える距離。
つまり、条件は完璧でした。
ですが、なんとなく部屋にも環境にも遠慮を感じていたのです。
まだ小さかった子どもたちに「夜は静かにしてね」「壁に体当たりしないでね」「汚さないでね」などなど、家に対して気づかわなければならないことが小さなストレスでした。
隣人の、壁を通しての話し声(何を行っているかは不明)も気になりましたし、こちらの声も聞こえていると思うと常に落ち着かない気持ちです。
そんなことが重なり、マイホーム購入への気持ちが高まりました。
自分で購入した家なら大声を出せるし、壁に穴を開けようが、床を傷つけようが、汚そうが遠慮はいりません。
何より、子どもたちと心からワイワイと大声で笑いあえるし、話すこともできる。
結果、これらは住宅を買うことによって叶えられた部分でした。
そして、住宅を購入して10年たった今の心境は「後悔していない」です。
その一方で、これはただ非常に幸運だっただけだと考えています。
ご近所トラブルがなく、隣に気遣わなくてもよい場所に、自分の年収で購入できて、子どもたちの学区にも影響しない住宅があって購入できただけ。
これが結論です。
もし、今の知識をもって「住宅の購入をするか?」と問われれば、「しない」と答えるでしょう。
自分でコントロールできない範囲が住宅購入ではつきまとい、総合的にリスクが高いなと感じてしまうからです。
金銭的な面では、住宅ローンを組んでから現在まで支払い総額と賃貸の時の支払い総額は同じくらいです。
ですが、これからもし住宅に住み続けるとなると修繕費や上昇する金利、固定資産税が重くなると考えています。
現在は自身の仕事や子どもの進学・就職でライフプランが変わる可能性も考え、売却・賃貸に回すなどの出口戦略を考えています。
定期的に住宅一括査定サイトなどで見積もりを行っています。
住宅は資産ではなく負債と考えているので、子どもたちが成人した今、いつ売るかも視野に入り始めています。
せめてローン残高と同額以上で売却できるよう願っています。
住宅購入を検討する時は感情ではなく「客観的な視点」で考える
住宅購入を考えるなら、後悔しないための3つのチェックポイントがあります。
本当にマイホームが必要か? 感情面だけでなく「客観的に」判断する
- 賃貸の場合と住宅購入のメリットとデメリットを考えることと、家計簿をつけてシミュレーションすることは必須
保証料、手数料、借り換えする場合を含めた総返済額を把握しておく
- 変動金利のリスクも考慮し、固定金利も視野にいれる
出口戦略を決めておく
- 周囲の環境が悪かった時はどうするか・売却・賃貸・子どもたちの住まいなど、複数ルートを検討する
「自分が今、どのようなリスクを取ろうとしているのか?」を分かったうえで十分に知識をインプットしてから、購入検討することが大切です。
それではまとめいきましょう
シングルマザーにとって“家を持つ意味”を考えることは、とても重要です。
安定した住環境は子どもにとっても心理的安全基地であると言えるからです。
また、母親の心の安定は子どもの安心にも繋がります。
ただ、住宅ローンは資産形成にとって大きなマイナスです。
住宅ローンのために子どもとの時間を削らざるを得ないことも起こり得ます。
子どもとの生活の場に何を求めているのか?
自分が本当に求めるものに対する解像度を高めることが大切です。
それでも「やはり購入したい」と決めたときは、この記事のチェックリストで後悔を防ぐことをおすすめします。