エッセンシャル思考を読んで、「共同親権」をしようと考えている人に大切な考え方だなと思い記事を描いてみました。
エッセンシャル思考とは、Greg McKeown(グレッグ・マキューン)の著書『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』によって提唱された、「より少なく、しかしより良く」という原則に基づいているものです。
現代社会の複雑さと情報過多に対する解決策として提案されており、この考え方を実践することでストレスを軽減し、本当に重要なことに集中できるようになると主張されています。
こちらの考え方が、共同養育にも当てはめることができると思いいたりました。
このエッセンシャル思考の大原則である「より少なく、しかしより良く」を共同親権の考え方に当てはめると、
共同親権を実行して、それを継続してゆくのに必要な元夫婦の共通思考はただ1つ。
子どもの幸せにつながるかどうか
共同親権は、離婚後も両親が協力して子どもの養育に関与するために法的に共に親権を持つ制度です。
この意味は、子どもの最善の利益を追求し、両親が責任を持って子育てに関わることを促進します。
しかし、実際に共同親権を成功させるためには、「子どもの幸せを一番に考える」という視点が必要不可欠です。
本記事では、10年前から共同子育てをしてきた経験から、共同親権を行う際に重要なポイントとその理由を解説し、子どもの幸福を最優先に考える思考の大切さを提案します。
共同養育を考えている人のヒントになれば幸いです。
2024年5月時点での共同親権の基礎知識
共同親権とは何か
共同親権とは、この制度の目的は、子どもが両親の愛情と支援を継続的に受けられるようにすることです。
共同親権を持つことで、両親は子どもの教育、医療、福祉に関する重要な決定を共同で行う責任を負います。
日本における共同親権の現状
日本では、共同親権制度はまだ一般的ではなく、離婚後の親権は通常、どちらか一方の親に単独で与えられることが多いです。
共同親権に関する改正法は、2024年5月17日に成立しました(5月24日公布)。
実際の施行は、2026年5月24日までに制度が開始されるとのことです。
共同親権が法制化されることで、より多くの子どもたちが両親から継続的なサポートを受けられるようになると期待されています。
子どもを一番に考えるための視点
子どものニーズを理解する
共同親権を維持し良い方向に導くためには、まず子どものニーズを理解することが重要です。
子どもは成長過程でさまざまな変化を経験し、それに伴いニーズも大きく変化します。
年代別ニーズの統計ではありませんが、2023年9月に行われた子どもへのアンケートの結果報告を参考にみてみます。
■家庭での生活で良いと感じる点、不安・不満に感じる点良いと感じる点に関して、「十分な食べ物がある」が71%で、それに「安心する居場所がある」(60%)、「服や必要なものが買ってもらえる」(59%)が続く。家族関連の選択肢(「家族は自分と一緒にいてくれる時間がある」、「家族の仲が良い」、「家族は自分のことをよく知って大切にしてくれる」、「辛いときに家族が助けてくれる」等)はいずれも50%を上回る結果となった。
不安・不満を感じる点に関しては、「勉強へのプレッシャーが大きい」(16%)、「遊ぶ時間が少ない」(13%)、「進学についてお金の問題や心配がある」(11%)の3つが10%を上回る結果となった。なお、「特になし」という回答が過半数(55%)となっている。
考察:家庭満足度と幸福度の関係から見る、こどもに必要なサポートについて
日本財団 公益事業部 「こども基本法プロジェクト」こども1万人意識調査チーム今回の調査において、家庭への満足度が低いこどもは、学校・地域への満足度が低いこどもと比べ、相対的に幸福度が低い結果となりました。幸福度には、さまざまな要因が複合的に組み合わさり影響を与えていると考えられ、直接的な因果関係についての評価は困難であるものの、家庭への満足度がこどもの幸せにとって重要な要素となっていることがうかがえます。
次章『2.家庭・学校・地域について』において紹介する、家庭への不満や要望に関する設問への回答結果では、特に、家庭の経済状況や、家族間の関係(家族仲)に関しサポートのニーズを持つこどもは、他の項目を選択した場合と比較し、家庭への不満足度が高くなっています。〜中略〜いずれの結果からも、家庭満足度において、「お金」「家族仲」が重要な位置を占めていることがうかがえます。
引用:公益財団法人日本財団 こども1万人意識調査報告書
離婚は子どもにとって大きなストレス要因となります。
けれども、アンケートを見る限り、離婚以前の夫婦関係の悪化などの影響で家庭内不和の状況は、子どもに不満の状態を与えていることは明白です。
私が離婚を意識し始めたきっかけの言葉は「両親の不仲は子どもに深刻な影響を与える」というものでした。
自分の子ども時代を思い出すと、確かにそうでした。
子どもの声をひとりの人間の声として尊重する
アンケート結果を見ると、
感情を表現しやすく自分の話を聞いてくれる環境
安定した衣食住がある環境
家庭内(家族構成の詳細はわかりませんが)が円満
などが、子どもの心理的な安定を図る大きな要因となっているようです。
子どもを一番に考えるためには、子どもの声を尊重する姿勢が欠かせません。
子どもの声を聴くことは、親やそばにいる大人が「傾聴」を意識しないとなかなかできません。
なぜなら、生まれたときから長い時間一緒にいる時間が長いためです。
子どもの考えていることがわかっていると考えたり、話を最後まで聞かずにアドバイスをしがちです。
けれども子どもは大きくなるにつれ、親以外の人間関係を築き自己を確立しています。
いつの間にか、子どもは親とは全くことなる価値観を持っていることが当たり前です。
子どもの話を「聞く」ではなく、ひとりの人間の話として「聴く」の意識を持つことが大切です。
とはいえ、子ども自身が自分の意見を話しやすくなる環境がなければなりません。
なので、「清潔で安全な衣食住」=「安心安全」の場は基本として、私は特に「何を話しても行動しても受け入れてもらえる」=「心理的安心安全」の大切さを強調したいです。
子どものための両親の協力体制を築く
共同親権では、両親の協力が不可欠です。
親同士の対立が子どもに悪影響を及ぼすことを防ぐために、以下の点に注意を払う必要があります。
- 親同士のコミュニケーションの確立:定期的に話し合ったりやLINEなど気軽にできる連絡手段を通じて、子どもの現状や節目の情報を共有します。
- 共通の目標設定:子どもの幸福を最優先とした共通の目標を設定し、協力して取り組む姿勢を持つことが重要です。特に金銭面の援助に関してはよく話し合う必要があります。
- 意見の不一致がある場合:意見の不一致が生じた場合は、第三者を交えた解決策を模索し、感情的な対立を避ける努力をします。
- 柔軟な対応:子どもの希望が変わることもあるため、柔軟に対応し、必要に応じて計画を見直すことが重要です。
共同親権の具体的な実践方法
育児計画の作成
育児計画は、共同親権を円滑に進めるための重要なツールです。
育児計画と言うと大げさに聞こえるかもしれませんが、大まかな方向性を決めておくとよいです。
できるなら文章に残しておくのがよいです。
別れたもの同士なので契約や文章に残すことは感情部分を抜きにできるので、むしろやりやすいのではないかと思います。
この計画には、両親がどのように育児に関わるか、具体的な役割分担やスケジュールを明確に記載します。
育児計画を作成することで、両親の役割が明確になり今後の指針にもなります。
育児計画に含めるべき項目
日常のスケジュール
子どもがどちらの親とどのように過ごすかを明示します。
うちの場合は、週4日はママの家(メイン)、パパの家へは平日休みのパパの予定にあわせて週1〜3日過ごす。
これが小学校から中学校まで続きました。
もちろん、都度柔軟に変更がありました。
娘は高校生まできっちりこの流れでいましたが、息子は中学校途中からはパパの家へ泊まりに行くことがなくなりました。
それでも、定期的にパパと食事に行ったりして、仲良く過ごしているようです。
教育の方針
子どもたちが臨む学校選びや課外活動や部活動、習い事や塾などの学習方針についての取り決めをその都度、相談共有します。
うちの場合は、メインの養育者であるママが話を聴き、それをパパに共有する、という形になっていました。
というのも、親が子どもの教育に対するこだわりがなかったということがあります。
子どもが考え、行きたい学校を決めたらそれを応援するというスタンスで意見が一致していたためです。
また、両親が「大学へは言ったほうがよい」という方向性がありました。
ですので、息子が中学生・高校生の段階で「もう勉強したくない」と言った時は、パパにその話を共有しママの家にいる時はもちろん、パパの家にいるときにも「大学に行くメリット・デメリット」を話して息子に考えてもらったりしました。
医療ケア
子どもの健康管理や医療に関する決定についても都度、共有します。
幸いにも、うちの子供達は健康に恵まれました。
もちろん、部活動での怪我や骨折、小さい頃にはアレルギーがあったりしました。
インフルエンザに罹患した時は、基本的にはママの家で看病する。(離婚前でもあてにできなかったため)
アレルギーの発作にたいおうするための常備薬がある場合は、パパの家にも常に常備する。
通院が必要な場合は、互いに情報を共有してできるだけ子どもが家にいる方の親が対応する。
残業などで時間的に厳しい時は、連絡を取り合い対応してもらう。
そういったことをおこないました。
金銭的な取り決め
養育費や今後かかってくる教育費についての取り決めを明確にします。
長期的に見て、メインで過ごすことになる家での生活費がやはり多くかかってきます。
生活費だけでなく、学校で必要なもの、習い事で必要なもの、子どもが臨む自己投資なども大きくなるにつれて金額も大きくなります。
それに合わせて教育費も貯めてゆく必要があります。
その教育費もどのように準備するのかを大まかに決めるのが良いかと思います。
うちの場合は、養育費の取り決めのみでした。これが大失敗。
子どもが高校・大学と進学を決めた先は、こちらの想定外の「私立」への進学でした。
それをパパへ共有し費用の負担をお願いしましたが、答えは「NO」。
マジか…。
共同養育をしていると、定期的に会うのでお金の受け渡しもスムーズで良い部分もありますが充てにはできません。
共同養育を決めたとしても、養育費・教育費の取り決めは公正証書にすることをおすすめします。
共同親権で発生する課題とその解決策
離婚したもの同士が共同親権をもち、共同養育をするにあたり、もっとも難しいと思われがちなのは「コミュニケーション」です。
これに関しては、お互いに「大人」の対応をする、ということに尽きると思います。
子どもに接する時は情緒あふれる大人として、子育てにまつわる外堀の事柄は「仕事」と考えて別れた相手とやり取りをする。
このぐらいの心意気であることが成功の秘訣なのではないかと思います。
共同養育に発生する課題
コミュニケーション不足
両親間のコミュニケーション不足が、誤解や対立を生む原因となります。
子どもとのコミュニケーションもスムーズにできるように気を配ることも大切です。
日々の重要事項や子どもの情緒に関わるような出来事(例えば先生からの話や子ども同士の喧嘩など)は共有します。
育児方針の相違
育児方針の違いから、子どもに対する接し方に矛盾が生じないようにします。
子どもがお互いの家を行き来し、片親がいないところで話をすることを想定してみます。
子どもに対する親の考え方が食い違っていると子どもも混乱してしまいます。
特に、小さい時や思春期の敏感な時、進路を決める時などは、両親は意見の方向性を確認することをおすすめします。
感情的な対立
離婚後の感情的な対立が、共同親権の実施を難しくすることがあります。
どうしてもこの感情的な部分が解消できずに「冷静に会話することも困難」な場合は共同親権による共同養育自体をあきらめたほうが、むしろ子どものためになります。
離婚前も離婚後も両親が喧嘩しているところをみることは、子どもへ2重にも3重にも悲しみを与えてしまうことにほかなりません。
子どもの成長を最優先事項と互いに認識し、別れた相手との話し合いは「冷静な大人」になる覚悟が必要だと言えます。
どうしても感情的になる場合は、専門家や相談役を交え、両親の主張に第三者の意見を聴くことも冷静になれるきっかけになります。
経済的な安定
子どもが成長するまでの期間は、離婚した時期にもよりますが10数年に及ぶことがあります。
その間、お互いの経済状況に変化がある場合も考えられます。
それでは「まとめ」いきましょう
子どもを一番に考えること。
この思考の共有が、共同親権を成功させるために必要なことです。
そのために両親が、子どもの幸せを常に考え協力し合う姿勢が求められます。
子どもの声に耳を傾け、育児に関する計画を共有することで、子どもが健やかに成長できる環境を整えることができます。
子どもを最優先に考える思考をもち、両親が子育てに関する戦友関係を持ち続けることで、共同親権による共同子育ては子どもの幸福を最大限に高める手段となります。