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【共同養育の現実はどう?】離婚しても共同子育てをしたから伝えられる、メリット・デメリット

2024年5月21日

離婚した夫婦間の子どもの親権を両親が持つことを認める「共同親権」。これの導入を柱とした民法などの改正が、2024年5月17日参院本会議で賛成多数で可決され、成立しました。

共同親権が実際に実行されると、離婚した夫婦が、離婚後も協力して子育てをしてゆくことになります。

私は、離婚が成立する時に離婚してもパパとママで子供を育てるといういう提案を私から行いました。共同養育(コペアレンティング)の取り決めをし実行してきたのです。

この記事は、2012年から行ってきた共同養育の経験をを元に、そのメリットとデメリットを書きました。今回の国会での共同親権の可決をうけ、これから共同養育を考えている方への参考になればとなれば嬉しいです。

メリット

  • 両親からの安定した愛情とサポート
  • 親も子供もストレス軽減が見込める
  • 対人関係のモデル
  • 心理的安定感
  • 養育費が支払われやすくなる

両親からの安定した愛情とサポート

共同養育を行うことは、子供にとって離婚する前にあった両親からの愛情とサポートを実感し続けることができます。

それにより、子供がうける、離婚による好ましくない影響を最小限に抑えられる可能性があります。

親も子供もストレス軽減が見込める

両親が協力して子育てを分担することで、子供は一方の親に必要以上の依存をしなくてすみます。心の中でも、この親に見捨てられると生きてゆけないという不安を感じることが軽減されるのです。また、親を失うこと=生存の不安のストレスからも解放されます。

一方、親にとっても子育てのストレスから解放される時間がもてます。子育てを1人で担うのはとてもストレスのかかることです。子供の年齢にもよりますが、ある程度の年齢まで365日、常に何かしらのサポートが必要だからです。

共同養育をすれば、例えば、子供がもう一方の親の元へ行く時、もう片親は自分の時間が確保できます。ゆっくり休んだり、友達と会ったり、後回しにせざるをえなかったことをする時間にあてられ、リフレッシュが可能です。

対人関係のモデルとなり、心理的安定にもつながる

子供は、両親の離婚により自分には理解できない理由でどちらかの親と別々に住むことを体験します。

ですが、共同養育をすることにより、離婚後も両親が協力して自分に関わり続けます。自分の親が、互いに尊重し合い自分のために行動をしてくれる様子を見ることができます。それにより、子供はより柔軟な対人関係の築き方を学ぶことができます。

また、両親が共同で養育に関わることで、子供は家庭が完全に失われたのではないと徐々に理解してゆきます。大切な両親が自分に依然と変わらず関わってくれるという安心感を持つことができます。その安心感は、子供の心理的安定に寄与します。

養育費が支払われやすくなる

養育費の未払いは、「子供との交流がないのに養育費だけ払わされるなんて・・・」「そもそも親権を持った方が全ての責任を全うすべきだ」「自分の収入が減ったから・・・」などの理由から発生することが多いようです。

離婚した父親からの養育費の受給状況は、「現在も受けている」が 28.1 %[同 28.1 %](同 24.3 %)で、平均月額(養育費の額が決まっている世帯)は 50,485円[同 50,204 円](同 43,707 円)となっている。 一方、離婚した母親からは、「現在も受けている」が8.7 %[同 8.8 %](同 3.2 %)で、平均月額(同)は 26,992 円[同 26,543 円](同 32,550 円)となっている。

令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果

親子交流(面会交流)の「取り決めをしている」のは、母子世帯で30.3 %[同 30.1 %](同24.1 %)、父子世帯で31.4 %[同 31.3 %](同27.3 %)となっている。親子交流(面会交流)の実施頻度は、母子世帯、父子世帯ともに「月1回以上2回未満」が最も多く、それぞれ24.2 %[同 24.1 %](同23.1 %)、27.7 %[同 27.7 %](同20.0 %)となっている。

令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果

共同養育の場合は、養育費未払いの原因となる要素が減りそうです。

デメリット

  • 子供が背負う移動の負担
  • 両親の感情的対立のリスク
  • 教育方針の一貫性の欠如
  • 経済的負担
  • 両親の間に軋轢がある共同養育

子供が背負う移動の負担

共同養育を行う場合、子供が両親の家を行き来する必要があるため、移動の負担や生活の不安定さが心理的なストレスにつながることがあります。

平日での移動となったりすると、相手が仕事から帰ってきてから、夜間に移動となることが多いはずです。学校などの準備や着替えや道具を抱えての移動は、1日活動して疲れた子にも親にも大きな負担となります。

その他にも、片方の家にお気に入りの服やおもちゃがある、一方の家にはないという場合も子供にとってストレスです。学校がはじまると教科書や各教科に必要な道具などの移動も発生し、それぞれの親の家にも忘れ物が多発します。子供が大きくなってきて、活動範囲が広がると共に学校行事以外の負担も増えてきます。

両親の感情的対立のリスク

もし両親の間に未解決の感情的な問題が残っている場合は要注意です。双方にのこる感情的なわだかまりは、片親がいない時に発散される可能性があるからです。それが子供にストレスを与えることがあります。

例えば、一方の親の悪口や愚痴などを子供に話す場合などが挙げられます。両親の間にどのような価値観のずれがあろうが子供にとっては両親は大切な存在です。大好きな人の悪口を、一方の大好きな人の口から聞かされる子供の心情はどんなものになるか想像に難くありません。

教育方針などの一貫性の欠如

両親が育児の方法や価値観において話し合いが十分にされず、あやふやになっている場合は要注意です。子供は一貫した教育や考えや方向性を受けることができずに、どちらの親の意見も立てようとし、必要以上に悩む原因を作る可能性があります。

例えば、教育に関する価値観の不一致などです。進学するには私立なのか国公立なのか、大学進学をするのか否か。それぞれの親の価値観を繰り返され、その板挟みで余計な悩みを増やしてしまう可能性も考えられます。

経済的負担

共同養育には両親が協力して財政的責任を負う必要があります。大きい金額となるのは教育費、また、日々の細かい生活費も同様です。特に母子家庭となると十分な収入が得られず、生活に余裕がない現状があります。

例えば、片方の親が自宅用にと子供のために購入した衣類が、もう片親のところへ行ったきり戻ってこない。購入した方は、再度買い足さなければ、生活に支障をきたす。子供からも衣類が足りない、と責められる。衣類だけでなく、特に持ち物に関しては多々発生することでもあります。

経済的な面が十分な話し合いがされず、不均等になると親の間での不和の原因となりえます。それを目の当たりにする子供は、自分のことが原因と感じ、必要以上のストレスを与えることがあります。

両親の間に軋轢がある共同養育

共同養育の取り組みをしていても、違いに心理的葛藤がある場合は共同養育のデメリットとなります。親同士の軋轢を目の当たりにすることにより、別々にくらす各々の親との交流が多くなっても、子供はストレスを感じ、適応能力にマイナスをもたらすことがわかっています。

両親に「他方親否定」「両親間の板ばさみ」「父母間の葛藤が目に見えて現れる」「片親を訪問する日に、不機嫌になる同居親」などがあると、子供はその親の軋轢を我慢して受け止め、親に甘えることなく子供らしさを捨てて過ごすようになります。

共同養育では、双方の親が納得し「大人」として互いに関わりあっている姿を子供に見せなければ、子供にさらなる打撃をあたえてしまいます。

まとめ

離婚後の共同養育(コペアレンティング)には、子供にとって多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。今回の「共同親権」の民法改正を受け、離婚後の父と母で子供を育てる、という方法をとってきた経験といくつかの論文からメリットとデメリットを書いてみました。

結論、子供に対する親の行動は、婚姻関係があってもなくても共通するものばかりだと感じました。

一方の親の悪口を子供に言わない

親の喧嘩を子供に見せない

親ができる限りの情緒的ケアや金銭面の援助をする

子供には物理的にも精神的にも安心安全の場を与える

などなど

共同親権が可決され、実行に移す場合では、両親がどんな状況で離婚しても、お互いがきっぱりと「大人」になり、子供のために自分たちのスケジュールや時間、お金を調整する。共同親権の課題や問題点は専門家にお任せし、親は自分のメンタルを常にご機嫌に快適にする方法を習得することが大事かなと思います。

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