この日本の社会において、シングルマザーとして働くことはまだまだ困難なことが多いのが実情です。
しかし、自治体によるところもありますが、女性就業に関して企業への働きかけや保育園の待機児童の問題(令和5年4月の待機児童数調査のポイント)なども、十分ではないにしろ少しずつ改善されています。
本記事では、シングルマザーが働きやすい職場の特徴を私の複数にわたる職場経験から3つ考えてみました。シングルマザーとしての強みを活かしながら、所得を得てより良い家計を作ってゆくための参考になれば幸いです。
シングルマザーが特に重視するのは勤務時間・勤務地の柔軟さ
働く時間を自分で決めることができる
シングルマザーが求める理想の職場環境の一つに、働く時間を自分で決めることができる、ということが重要です。働く時間の柔軟性は、育児と仕事と家事、生活のあらゆる雑務をこなすをために必須となります。子供のイベントや学校行事、役所への提出書類の締め切りや金融機関への入金など、平日に発生することが多い出来事に対して一つ一つ職場の許可を得ることは精神的に負荷が溜まりがちです。そのために、勤務時間を変更しやすかったり、調整できたり、自分に裁量権がある自由度が高い職場が理想的です。
自分の生活圏内にある会社に勤務する
なかなかそのような職場は少ない、と感じるのであれば自分の生活圏内にある会社に勤務する、ということもお勧めです。少し慌ただしくなりますが、昼休みや休憩の時間を使って買い物をしたり役所や銀行へ行くことができる可能性ができます。また、生活圏内なので少し早くに勤務を切り上げれば、そこから自由に行動が取れます。
私の経験ですが、離婚当時は、手取りは14万円のボーナスなしの会社勤務でした。サービス残業は当たり前、完全週休二日でもなく仕事を家に持ち帰ることも多々ある会社でした。一見、ブラック企業そのものですが、シングルマザーである私にとっては行動しやすかった会社でした。
それは、家から徒歩3分の距離の職場だったことです。というのも、子供のPTAの活動や学校行事への行きやすさ(移動時間を考慮しなくてもギリギリまで仕事ができた)、昼休みに自宅に戻り家事ができた、銀行や役所などにも自転車で行ける距離だった、などの利点がありました。
と同時に後述しますが、職場内で働く人たちが助けてくれたことも重要なポイントです。理解のある独身者とシングルマザーが多い職場で、さらに年配の子育て経験者の人が、子育て理解ない人に一喝してくれるような環境だったのです。これには本当に助けられ、まだ離婚して間もなかった自分にとって色々と相談したり情報を共有したりできる、最良の職場でした。
完全在宅勤務(リモートワーク)の可能性とスキルアップ方法
完全在宅勤務(リモートワーク)ができるようなPCスキルを身につける
リモートワークは、シングルマザーにとって最適解とも思える働き方です。自宅で仕事をすることで、通勤時間を節約できるだけでなく、日々の雑務や家事を隙間時間でこなせます。また、子供と過ごす時間を増やすことができます。また、自分のペースで仕事を進められる、裁量権も大きくなるため、ストレスも軽減されます。また、完全在宅勤務(リモートワーク)=PCを使う仕事となります。PCスキルは将来、副業を始める時のスモールスタートには最適ですし、Webデザイン・経理・採用・秘書・DTPデータや営業資料作成・データ入力・プログラミング・動画やWebライティングとどこまでも仕事の幅が広がる可能性があります。
完全在宅勤務(リモートワーク)は一時期、当たり前のようになりましたが、その後は従来の業務形態に戻る企業が多い印象を受けます。業種にもよるとは思いますが、完全在宅勤務(リモートワーク)の選択肢を全て無くす企業も見受けられます。どのような意図をもってその判断をしているかは企業それぞれであるとは思いますが、完全在宅勤務(リモートワーク)を推奨し続ける企業であることは、社員への理解と信頼がある企業とも見えます。シングルマザーにとっても非常に魅力的であることは間違いありません。
長期スパンでスキルアップを考えることが大切
そのためにもシングルマザーはスキルアップが欠かせません。子どもが小さいうちは、子育てにかかる日々の生活の費用も少ないのでこの時期がチャンスかもしれません。その時は、経験不足で給与が高くなくても、数年かけて実力をつけてゆく。そして、将来大きくキャリアアップしたりや独立を考えるという長期スパンでスキルアップを考えることが大切です。また、少し子育ての手が離れたのならば、オンラインを利用して平日夜や休日に学べば、さらに新しいスキルを習得することができます。もし可能ならば、社内研修やセミナーに積極的に参加し、最新の知識を身につけることも重要です。
ポータブルスキル=会社に縛られないスキルを高めてゆくこと
シングルマザーの働き方では、ポータブルスキル=会社に縛られないスキルを身につけてゆくことによって自身の市場価値を高めてゆきましょう。そうすることによって、現状より良い職場環境を選べるようになったりやスキルによってはリモートワークの働き方や独立を視野に入れることが可能となります。
また、PC仕事ではなく、人へのサービスや営業、医療や看護の仕事が好き!という人は、そのスキル自体がポータブルスキルだと感じます。営業・接客・医療(介護・看護)の仕事は求人がなくなることがないのが何よりの証拠だと思います。経験値にプラスしてマネジメントや経営のスキルや知識をつけてゆくことによって、より仕事の幅が広がり収入に反映されると思います。
職場の現実を知ることと職場の理解を得る方法
残業時間や年休取得率、育休取得率、離職率などのデータに注目
シングルマザーに優しい働き方がなされているかを見ることは大切です。例えば、残業時間や年休取得率、育休取得率、離職率などのデータに注目することも重要です。残業時間や離職率が高い企業ほど、シングルマザーでなくとも過酷な就業状況と言えるでしょう。年休取得率も子供の急病や学校行事などで休まざるを得ない状況が多いシングルマザーにとっては死活問題とも言える数字です。これらを心よく公開できている企業は、従業員の働きやすさに気を配っていると考えても良さそうです。福利厚生の項目だけをみて充実していると判断しても、それらを実際に活用しているかどうかは別の話なので職場を選ぶ状況になった時は注意が必要です。
シングルマザーにとって、女性が働きやすい企業を見つけるための指標として、厚生労働大臣が認定する
「えるぼし認定」(女性の活躍を推進している企業である認定を受けた企業です。基準を満たす項目数に応じて3段階あり、さらに特に優良な企業へのマークもある)
「くるみん認定」(「子育てサポート企業」として認定を受けた企業です。星の数は、これまで認定を受けた回数を表します。さらに要件に応じて名称が加わります)
を指標としても良いかと思います。が、経験上、この認定マーク=職場の環境全てにおいて良い!ということではないので、参考程度にすることがおすすめです。
参考サイト:女性の活躍推進企業データベースより
職場の理解とサポート体制は、シングルマザーが安心して働くために欠かせません。上司や同僚がシングルマザーの状況を理解し、柔軟に対応してくれることが理想です。また、社内に育児支援のための相談窓口や、キャリアカウンセリングやメンタルヘルスサポートがあると心強く感じると思います。が、実際にともに働く人の理解がなければあまり意味がない制度だということは容易に想像できます。
運良くそのような職場環境に就職できれば良いのですが、現実はそう簡単ではありません。では、どうすれば良いか。
職場での協力を得るためには、自分から行動することです。シングルマザーになった理由は人それぞれではあるにせよ、子育てしているから私は忙しくて当たり前!なんて態度で働くのは論外です。また、いざという時に助けてもらうために、日々の自分の働き方や周囲への気遣いをする、という考え方でも結局はテイカーと同じ考えだと言えます。経験上、職場の中の、特に働く経験が豊富な女性は、そういう考えの女性には協力してくれません。
自分の仕事の内容を誰もがわかるように整理しておく働き方
では、どのような働き方が良いのか?私自身が経験した複数の職場を得て思うところは、もちろん基本的には、忖度なしに日々自分のできることを精一杯する。そして、自分の時間に余裕がある時は快く(ここがポイント)周囲を手伝う。常に、自分の仕事の進捗を誰もがわかるように整理しておく。いつでも他の人が自分の仕事を引き継げるようにしておき、その内容を口頭で説明できるようにしておくこと。働く時間を全て自分の思い通りにすることが難しいシングルマザーは、いざという時の対応ができている仕事ぶりが周囲の信頼を得てゆくのだと思います。
まとめ
シングルマザーが楽しんで生きてゆくには、適切な職場環境や働き方をみつけ、ワクワクして働くことがことが重要です。本記事で紹介したポイントを参考にして、自分に合った職場や働き方を見つけ、シングルマザーとなったことの強みを活かしながら、充実した仕事生活を楽しみましょう。長期的な計画と継続によって、シングルマザーとしての生活をより豊かにすることができます。